日本における外国人研修生の受入れは、多くの企業が外国に進出するようになった1960年代後半ごろから実施されてきました。海外へ進出した多くの日本企業は、現地法人や合弁会社・取引関係のある企業の現地人社員に対し、日本国内で技術や技能・知識を修得させ、帰国後に現地での講師として研修を実施しておりました。
こうした実績の積み重ねの中で、日本では1980年代末、少子高齢化の進展・ボーダレス社会の実現・高度情報化の進展により、外国人労働者問題にどう対応するかという問題が政治・経済・社会等の場で大いに議論されました。その結果、日本国政府は1990年に従来の研修制度を大幅に見直し、日本が技術移転による開発途上国における人材育成に貢献することを目指して、より幅広い分野における研修生受入れを可能とする途を拓きました。
受入れ方式については、従前の「企業単独型」の受入れに加え、中小企業団体等を通じて中小企業等が研修生を受入れる「団体監理型」の受入れが認められました。これにより開発途上国にとっては、そのニーズに合った汎用性の高い技術・技能等が移転されやすくなりました。同時に、日本の中小企業にとっても外国企業との接点が生まれ、事業活性化等に役立つようになりました。さらに日本政府は、研修生受入れ拡充の観点から、1993年、研修を修了し所定の要件を充足した研修生に、雇用関係の下でより実践的な技術・技能等を修得させ、その技術等の諸外国への移転を図り、それぞれの国の経済発展を担う「人づくり」に一層協力することを目的として技能実習制度を創設しました。
その結果、2017年の技能実習生在留数は274,000人余りとなり、制度発足当初から飛躍的にその数字は伸び、制度が定着・拡大していきました。しかしながら、一部受入れ機関において、研修生・技能実習生が低賃金労働者として扱われていること、賃金不払いや時間外労働等の労働関係法規違反が発生していること、不当な利益を得る悪質な送出し機関やブローカーが介在していること等の問題が全国各地で生じており、早急な対応が求められておりました。
これらの問題点を受け、研修生・技能実習生の保護の強化、団体の監理体制の強化、悪質なブローカーの排除等を目的とした制度見直しが実施され、2010年7月1日から新しい研修・技能実習制度が施行されました。
その後2017年11月に、それまで入管法令によって、在留資格「技能実習」に係る要件等とされていた種々の規定をとりまとめ、さらに制度の抜本的な見直しを行い、新たに技能実習制度の基本法として「技能実習法」が施行されました。
主な改正点は以下の通りです。
(1) 外国人技能実習機構の設立
技能実習計画の認定、実習実施者の届出の受理、監理団体の許可申請の受理等を始め、実習実施者や監理団体に対する指導監督や技能実習生からの申告・相談に応じるなど、技能実習制度の適切な実施及び技能実習生の保護に関する業務を行います。
(2) 技能実習計画の認定制
実習実施者は技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受ける必要があります。
(3) 実習実施者の届出制
実習実施者が技能実習を開始したときには、遅滞無く届け出なくてはなりません。
(4) 監理団体の許可制
監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を得なくてはならず、監理団体として満たさなければならない要件は、技能実習法およびその関連法令で規定されています。
ご参考:TKK協同組合 一般監理団体 許1704001411 許可年月日 平成30年1月22日
(5) 技能実習生の保護
技能実習生の保護のため、技能実習の強制、違約金設定、旅券又は在留カードの保管等に対する禁止規定を法律に定めるほか、これに違反した場合の罰則に関する規定を定めています。
また、実習実施者又は監理団体の法令違反があった場合に、技能実習生が当該事実を出入国在留管理庁官及び厚生労働大臣に通報・申告することができることとし、技能実習生からの相談に応じる体制を整備しています。
(6) 二国間取決めに基づく送出国による送出機関の認定
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